第4回平成14年度会長提言特別委員会議事録(案)

 

日 時  :平成15年4月22日(火)15:00〜16:30
場 所  :弘済会館会議室 1F 葵(東)
出席者 :岸委員長、高辻、横田、中川、林、杉山、名倉、京谷、佐藤、西田、古木、松浦、
井上、酒井各委員、松尾、鈴木(俊)、鈴木(幹)、石郷岡各事務局
(配布資料)
資料−1  第3回平成14年度会長提言特別委員会議事録(案)
資料−2  情報受発信試験運用 結果報告と今後の計画
資料−3   「コンテンツ充実のためのアイデア募集」アンケート結果と今後の計画

議 事 :
1.議事録確認
 井上委員より前回議事録について報告し承認された。

2.情報受発信試験運用 結果報告と今後の計画
 酒井委員より資料−2に基づき情報受発信試験運用の結果報告と今後の計画が説明され、以下の議論と決定がなされた。
 
(1)決定事項
・試験運用から実運用に移行するが、内容の見やすさわかりやすさについては、更に改良を進める。
・運用に当たっては、まだまだ回答をサポートする目利きや登録回答者の機能が旨く動いていると評価できるような、厳しい状況に置かれていないので、今後とも機能強化に力をそそいでいく。

(2)質疑内容
(高辻委員)
 JSCE.jpは、道具としてどなたからもアクセスしていただけるというスタンスで作ったが、まだ、皆さんに周知していただく、知っていただくための営業活動が必要な段階である。今までは、皆さんに来ていただくという受け身の状態であってが、今後は、事務局の担当個々が目的や対象をもって活用し、場を活性化していくことが必要と考えている。
 
(中川委員)
 4ページの(1)に「会員間での周知」とあるが、私としては、もう一歩踏み込んで、会員の皆さんがこのサイトは、自分たち会員のもだというオーナーシップ的な意識を持って活用してもらえば良いと考えている。 

(酒井委員)
 私の場合は、会社のメールの最後に自分の連絡先などの署名機能を活用しているが、そこにJSCE.jpのアドレスを書き、社外の人に知ってもらう試みをしている。その中で、知っている人からJSCE.jpに投稿しようとしたが旨く出来なかったので、酒井さん投稿してよと依頼を受けてアップしたこともあります。この様なことをしているとそれなりの反応はあるのだなと認識したしだいです。

(中川委員)
現在、各委員会を回ってJSCE.jpサイトを自由に使ってもらう、オーナーシップの意識を持ってもらうための活動をしています。
(高辻委員)
 まずは使っていただき、便利さを知ってもらうことが重要ではないか。

(酒井委員)
 現状のJSCE.jpでは、HTMLタグなど一般になじみのない用語や機能が出ている、私の場合は、何気なく使って問題なく動いているのであまり気にしていないが、気になる方は多いと思う。サイトを作っている人たちは、それなりに解りやすくする努力をしていると思うが、もう一歩踏み込んだ簡素化策が必要と考える。

(古木委員)
 このソフト(JSCE.jpのベースであるSlash)はマルチパーパスに出来すぎている。似たようなJACICやgooのHPに比べ取つきにくい。対話のところに特化したようなものにならないか。機能を絞ったり、各話題ごとのコメントの関連表示を解りやすくするなど使う側に優しいものにならないか。
 現段階では、スラッシュボックスや質問広場、意見交換広場以外のセクションはなくても良いのではないか。

(林委員)
 今の段階でどこまで機能として出来たのかなという視点で見ると、対社会、市民に対してまだまだ公開できるレベルに至っていないのではないか。
 学会のホームページを訪れる人は、色々知りたいという人か、何か文句があり何らかの答えが欲しい人の2つに分けられ、特に今回の会長特委は、この後者に視点を当てている。
 現在のホームページでは、訪れた対象の人、例えば土木に興味のある一般の人、子ども、会員など人によって求めるもの(コンテンツ)が異なるのに、それに対応が出来ていない。
 確かに特別上級職の方々の協力を得て、即応的に対応する体制は今回出来たと考えられるが、もっと大きなテーマ、例えば計画学委員会で取りあげようとしている小田急線の問題など政策に係わるような重い問題など検討に時間を要するような課題を取り扱うスタディチーム体制、人材プール、これらの活動をコントロールする仕組み、目利きの目利き(学会の活動を熟知した人材の集団)がまだまだ出来ていないと感じている。
 この活動に近いイメージは学会誌に求められるが、学会誌は月単位であり、Webではもっとダイナミックな活動が求められる。このような活動は、一朝一夕にでるものではないので、更に時間をかけより良いものしてもらいたい。
 
(岸会長)
 林委員のご指摘のとおり、この仕組みを世の中に示したときに学会として対応する能力があるのかというのが基本的心配事としてある、各研究委員会で活躍している方も社会的なやり取りを経験している人、得意としている人がどれだけいるかな。もっといえば、これまで個々の委員会がこのような課題を重視し、意識しているのか。 たしかに今回のアル骨の問題は、コンクリート委員会が素早く対応したが、これほどまでに大きな話題ととして取りあげられない話題はたくさんあって、多くはそれを避けているように見受けられる。学会活動の柱の一つに世の中で起こっている問題を受け止め、まっとうな議論がなされるようにすることがあり、各委員会は、その意識をもつ必要がある。そしてそれが学会活動の柱であることが明示されていることも必要である。

(高辻委員)
 今回は、道具をまず用意したということで、それとは別に土木学会に普通の人が来てくれるようにすることためにどうしていくかが、今後の課題といえる。
 林先生は、現在企画委員会で議論されている組織として全体の資産を旨く利用していく方策として2つの方法、既存する委員会の機能を旨く使うことと会員個々がもっているポテンシャルを有機的に連携させて委員会と並列して旨く使っていく、例えば特別上級職の方々の能力を旨く引き出すということは、先の普通の人に来てもらうということより実現できやすいと思います。どちらにしても、先生の提案されている土木学会の社会化に対する機能の一端は担えたものと考えています。
 
(林委員)
 先の提案は、一年でできるものではありません。今回の重要な成果は、具体的に、道具といってしまえばそれまでだが、試運転からテーマ別にチームができ内容が深まるとか、グループの人たちで議論されたエッセンスを書き込んでもらうとか対応は幾つか考えられる。一人で孤立して対応するのは無理がある。

(高辻委員)
 ここ数ヶ月やってきたのは、中身の充実もさることながら使いやすさの充実に主眼が置かれたものであった。

(杉山委員)
今後のこのサイトの間口の広げ方、入ってきてもらい方についてですが、例えば、私が初対面の人と会ったとき、相手がやたらと私の情報を知っている時がある。これはなぜかと考えると、検索サイトで私の名前を検索し、ヒットした内容を継ぎ合わせて私の人物像を作り上げているのではないかと思う。一般の人がWeb上でものを探すときは、このような手法を良く取るとすると、例えば杭の話が出ていたが、技術的には振動の低減で話は済んでしまう。しかしながら、その技術的側面の背後にある背景、環境問題や技術など様々な角度からの成果としてその技術は出てきているもので、最終的には、このような深い答えがえられないとこのサイトへ来てくれなくなるのではないか。

(京谷委員)
 JSCE2005の試みも含め林先生のやっておられることは、学会変革の起爆剤になりうる可能性がある。
 学会誌のテーマは、掲載の10ヶ月前から準備に入り、9ヶ月前に委員会に上程し、6ヶ月前に委員会の了解を得て、実際の取材・原稿作成をしている。ある意味、一つの企画に1年を費やしているもので、内容的に高く評価されていても、学外からはあまり見てもらっていない。
 今回、Webを使って一般の方々と双方向できる仕組みができたということは、旨く使っていけば起爆剤になるなあという感想をもっている。
 今後は、学会のきちんとした広報体制も含めより広い範囲からものが見られる組織がほしいと思う。学会誌もHPも取り込んで一般の人に、学会の考えていることを広報していける体制づくりがこれを機会にできれば良いと考える。

(西田委員)
 林先生の意見を聞いていると学会の公式見解や委員会での議論をまとめてという長い時間をかけたものを発信する手段として使うように聞こえる。もともとは、もっと軽くフリーな会員の意見を載せ、ディスカッションする場を用意するという趣旨ではなかったのか。

(高辻委員)
 基本的には、西田先生のおっしゃるとおりですが、問題によっては、林先生のおっしゃるような対応も必要ということだと考えています。

(林委員)
吊り橋の仕組み的な問いは、スタディしつくしている問題であり、今まで入ってきた質問もこの主の物がほとんどである。ただ、小田急線の問題のように、さまざまな選択肢が存在し、人により解答が異なるような問題に委員会がなるほどと思うような解答や選択肢をしめせることも学会活動としては重要であり、そのような結果を公にしていく手段として活用することも大事なことと考えている。

(西田委員)
 そのような問題が出てきたときの対応手段を明確にしておくことで良いと思う。あまりそこまで考えてしまうのもどうか。

(岸会長)
 林先生のご意見は、先読みのしすぎととらえることも出きるが、土木計画学的な活動としてこの様な局面の対応は古くからやってきているが、計画への異論が出たり、中止になったりする現状が続いており、本来準備しておくべきものがなされていないなど問題があったのではないか。委員会として強い危機感のあらわれではないか。

(京谷委員)
 大学の例では、土木にいい学生がこないで建築に流れてしまう。実は、学生は建築の中身も土木の中身もわからず、単に建築という言葉のイメージ、土木のイメージだけで選んでしまっている。もっと正しい情報を発信していく手段として、やはり、簡単な技術的は話だけでなく、本当に答えにくい、難しい問題に答えていく手段として使われていく必要があるのではないか。学会誌は、やはり対象が会員であることから、一般の人の目に留まる機会は少なく、Webのこのような場が向いているのではないか。難しい問題で、回答に時間がかかっても答えていかなければならない使命を担っているのではないか。

(松浦委員)
 問題に対する回答が一枚岩でありすぎるのが問題ではないかというところから議論がスタートしたように思う。HPを通じて、いろいろな意見が、会員の個性が出ることが大事なことだと思う。
 委員会の公式意見というのは、また別物に思う。旨く使い分けていくことが必要に思う。
 

4.土木学会ホームページのコンテンツ(案)について
 井上委員より資料−3に基づきアンケート結果と今後の計画について説明され、以下の議論と決定がなされた。

(1)決定事項
・次年度以降、広報委員会などが中心となりコンテンツの充実に努める。

(2)質疑内容
(古木委員)
 今回のアンケートの成果は、HPのコンテンツを増やしていく、充実していく上で役立つと思われるので、さらに深めていくことが必要である。

(杉山委員)
  ここで3段階で評価しているが、この基準は、個々のテーマの成熟度合いや実現に要する時間などで分ける方がしっくりするのではないか。レベル1の比較的短時間でできるものからレベル3の、例えば先の小田急線問題のように1年間以上の議論、手間のかかるものという分け方。

(岸会長)
 コンテンツの充実というのは、来たら一方的に見えるもので、ここでやり取りをすることを考えているものではない。このような一方的に見せる物が不足しているので、これはこれで議論を進めて、魅力的なHP作りの参考にして欲しい。

(林委員)
 こういったコンテンツが、学会の提供するソリューションのヒントになるような物だと良いのではないか。

(京谷委員)
 No.16などは非常に面白い。学会誌でもこのような支援する記事の企画を考えたこともあるが、学会誌は会費をいただいた会員に配布するのが原則であり、内容がそぐわないという意見があり、実現しなかった。Webの良いところではないか。

(岸会長)
 このような活動が、学会の出前講座のようなものにつながっていく良いと思う。
 

5.閉会にあたって
 H14年度会長提言特別委員会の閉会にあたり、岸会長より委員の方々へお礼の言葉が述べられた。

 約1年半の間、皆様の貴重なお時間をいただきご議論いただいた成果として、ほぼ目的の機能を持ったものが出来上がったと言うことは、私にとって一つの義務が果たせたと思っており、心から感謝しています。今も議論が続きましたように学会もこれから大きく変革をしていかないといけないと感じておりまして、それに向かってのスタートの一つになったと思っています。
 委員の皆さん、ありがとうございました。

 

以上